まだ石油系界面活性剤は悪いとか言ってませんよね?
2016.5.11
Lily 代表:柳本 剛, 自宅での美髪ケア, 髪の傷みにお悩みの方へ
こんにちは!
くせ毛、縮毛矯正、ヘアケアの専門特化集団 表参道・青山の美容室Lily/リリィ代表
美容家の柳本です^^
石油系界面活性剤は本当に良くない?
今回はシャンプーの主成分、界面活性剤についてのお話。
1度は「石油系界面活性剤は良くない」みたいな話を聞いた事がありませんか?
結論から言うと、ノンシリコンと同じで企業のネガティブキャンペーンの1つです。
ネガティブキャンペーンとは。。「誹謗中傷により対立候補を貶める戦術の一つ」Wekipediaより
ノンシリコンの時は、シリコンを悪者に仕立て上げ、シリコン入りのものを使うと毛穴に詰まるとかetc、、、笑
石油系界面活性剤についても同じですね。石油は肌のバリア機能を破壊してとか、安価に手に入るため〜とかetc、、、
情報が早い方であれば、それは何の根拠もない作り話だという事を知っている事でしょう。未だに美容師さんの中でもこのネガキャンに踊らされている人を見かけますので、少しお話をさせてもらいます。
そもそも石油系も植物系もない
はい。もはやこれだけで全て解決です。解決ですが、少し詳しく見ていきましょう。
なぜ石油系も植物系もないのか?
それは1つの同じ成分でも、石油からも植物からも作る事が出来るからです。
どういう事か?例えば石油系の代表格と言われ、様々なところで叩かれまくっている『ラウレス硫酸ナトリウム』おそらく世界で1番シャンプー剤に使用されている界面活性剤ではないでしょうか?それだけにネガキャンの数も相当数に上ります。
このラウレス硫酸ナトリウムですが、石油由来のものも植物性由来のものもあります。そう、両方から作る事が可能なのですね。
で、出来上がったラウレス硫酸ナトリウムという成分はただ一つですが、石油系も植物系もありますか?ないですよね。
だって出来上がったのはCH3(CH2)10CH2(OCH2CH2)nOSO3Naというただ一つの物質なのです。そこに石油系も植物系も存在しないのです。
よって石油系も植物系もありません。
ちなみに植物性の方が安全性が高いと言われていますが、逆です。石油から作る方が安全性・安定性共に高いそうです。確かに普通に考えてみれば、植物って環境の変化に非常に影響されやすいですよね。農作物でも今年は良くて、去年はイマイチだったとか。環境に左右されている時点でどうしても安定性は低くなってしまうのは仕方のない事なのかと。
ちなみに植物は天然で石油は人口だから悪いという言われ方をしますが、あのぅ石油も天然のものですが?笑
石油は精製されてはいますが、元々は原油です。原油は地下から掘り起こされて採掘されています。その原油とは、何十億年も昔の動植物の死骸が地中に堆積し、長い年月をかけて地圧や地熱などにより変成したものです。
原油は立派な鉱物資源の1つなのです。
そもそも植物性が安全とは言い切れない
植物性が安全なら、皆さんは花粉症とかにはならないって事になりますよね?笑
花粉も植物の一部ですね。いくら植物と言えども、花粉や小麦、大豆などはアレルギーとして人間に牙を剥きます。これらにアレルギーがある方はアナフィラキシーショックを起こし、死に至る事さえあります。小麦や大豆は化粧品にも多く使用されているため注意が必要です。
よく植物性を謳い、色んな植物とか◯◯エキスをてんこ盛りのシャンプーとかありますけど、下手したらそれによってアレルギーを発症する事もあります。有名な話では「茶のしずく石鹸」ですね。これは多くの被害者を出し、商品は自主回収、裁判にまで発展した事例です。
原因は成分に配合されていた「加水分解コムギ」。この成分によってコムギアレルギーを引き起こし、2度とコムギやパン、パスタなどが食べれなくなった方もいます。これについての詳しい話はまた別の機会にしますが、要するに何でかんでも植物とか天然とかオーガニックだから良いというふうに考えないで下さいという事。それはその商品を売るためのネガキャンの一種なのですから。
次に石油は安価だから石油系活性剤が多く出回るについて
石油は安いですか?今は結構安くなっていますよね。皆さんの中で馴染み深いのは、やはりガソリンの値段ではないでしょうか?ガソリンが1Lいくらだと安いとか、高いとか。そう考えるとここ最近は久しぶりの安さになっていると言えるのではないでしょうか。
ちなみに石油系界面活性剤は安価だからって言われてたのって、3、4年前の事ではないでしょうか?その頃は頻繁に石油系は悪。経費毒こそが諸悪の根源とか叫ばれてた頃のように思います。
では2012年とか2011年の石油は本当に安かったのか?
下の図をご覧下さい。
これは石油の元となる原油の1バレルに対する月足チャートです。
これを見ると、ここ2年ほどはアメリカのシェール革命による影響で原油価格は暴落しています。
特に年初の中国に端を発する世界同時株安の影響により、2008年の安値を下回り、26ドルをつけました。と言ってもこれはここ最近のお話なので、石油系が悪いと言われてた頃とは無関係ですね。
このチャートを見ると2008年のリーマンショックで暴落するまでは、1バレル150ドル近い値で取引されていました。その後75ドル台を回復し、2010年〜2014年までは75ドル〜115ドルの間を行き来するレンジ相場でした。
石油系が安価だから悪いと言われていた2011年や2012年頃は、原油の歴史上においてもかなり値が高騰していた時代です。その時代に石油が安価だから悪いというのは、経済を少しでも知っている方からすれば失笑ものです。
僕たち美容師の仕事においても、様々なネガキャンや詐欺が横行しています。それらを防ぐのは自身のリテラシーでしかありません。今回の事も科学の事、経済の事を勉強していれば、単なるネガキャンという事が理解出来ます。美容師と経済は関係ないようにも思えますが、実はこのようなところで結びついたりもします。
このような知識を持つという事は、一般のお客様がネガキャンに惑わされている時や、いざお客様に聞かれた時にちゃんとした知識のもと答えてあげる事が出来れば、それはより一層あなたへの信頼として返ってくるのではないでしょうか。
現代は美容師と言えども、様々な分野での勉強が欠かせません。それは目の前にいる一人のお客様の幸せのためになるという事を肝に銘じておきたいですね。
柳本 剛